2004 年 65 巻 12 号 p. 3202-3205
症例は72歳,男性. 2002年12月3日,右下腹部痛を主訴に当科入院となった.入院時腹部レントゲン検査にてイレウス像,腹部CT検査にて回腸末端近くの炎症と異物陰影を認めたが,この時点ではPTP異物と診断不可能であった.保存的療法にて改善を認めず,再度腹部CT検査を施行したところ回腸内の異物が再現性に描出された.異物は,中心に円形の小結節,周囲にhigh densityな領域を伴う構造でありPTP異物と考え,同年12月6日緊急手術施行した.開腹所見では回腸末端から30cmの部位で回腸が炎症・癒着を起こしており,同じ部位にMeckel憩室を認めた.この部で回腸部分切除を行った.切除した回腸内にはPTP異物を認め,これがMeckel憩室開口部に穿通しており,このため炎症・癒着・イレウスを惹起したと考えられた.また, PTP異物誤飲は術前診断困難な場合が多いが,腹部CT検査は有用な診断方法であると考えられた.