2004 年 65 巻 12 号 p. 3214-3217
成人腸重積症を発症した小腸inflammatory fibroid polyp (以下IFP)の2例を経験したので報告する.症例1は65歳女性で心窩部痛,嘔吐を主訴に入院.症例2は71歳女性, 3カ月前よりの腹痛,排便困難を主訴に入院.いずれの症例も腹部CTにて典型的な層状構造とその先端に腫瘤像を認め,小腸腫瘍を先進部とした腸重積症と診断した.緊急手術がなされ術中所見にて腫瘍を先進部とした腸重積を認め小腸部分切除術を施行し,さらに切除標本の腫瘍は,病理組織学的検索にて初めてIFPと診断されている.小腸IFPは比較的稀な疾患であるが,多くは腸重積症で発症するため重積の原因として本疾患も念頭におくべきであろう.術前CT検査などで特徴的所見が得られれば腸重積の診断は難しくはないが,先進部の質的診断は術中も含めてかなり困難であり今後の課題であると考えられた.