日本臨床外科学会雑誌
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外陰部皮下転移を認めた上行結腸癌の1例
松岡 隆久森景 則保久我 貴之中山 富太藤井 康宏
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3241-3244

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抄録

症例は84歳,女性.平成15年4月,上行結腸癌の診断のもと右半結腸切除術〈D2〉施行.術後病理ではmucinous adenocarcinoma, ss, n2(+), ly2, v0, P0, H0, M(-), Stage-IIIbと診断された.同年8月,外陰部の腫瘤を主訴に精査加療目的に入院.理学的所見では,左外陰部に約3 cm大の可動性を有する疼痛を伴わない弾性硬腫瘤を触知した.血液生化学的検査では軽度貧血を認める以外,腫瘍マーカーを含めて異常は認められなかった. CTでは左外陰部に造影効果のある腫瘤を認めた.以上より,外陰部腫瘤の診断のもと腫瘤切除術を施行.術後病理では転移性皮下腫瘍と診断された.術後1年経過した現在も再発の兆候を認めず,当科外来で経過観察中である.結腸癌の転移部位としては稀であるが切除により長期予後を期待できる症例もあるため積極的切除を考慮すべきと思われる.

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