日本臨床外科学会雑誌
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肛門管内分泌細胞癌の1例
安井 祐司大野 伯和松原 正秀佐藤 美晴
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キーワード: 内分泌細胞癌, 肛門管
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3249-3252

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抄録

内分泌細胞癌は極めて予後不良な疾患である.今回われわれは術後4カ月後に多発性皮膚転移をきたした肛門管内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は82歳,女性.肛門部の不快感を訴え当科受診.肛門外へ突出した腫瘤を認め,生検の結果内分泌細胞癌と診断.遠隔転移を認めず,肛門直腸の局所切除+人工肛門造設術を施行した.免疫染色ではCD56, CEA, chromograninA染色がいずれも陽性であった.術後4カ月後に多発性皮膚転移を認めたが,肺,肝には認めなかった.肛門管内分泌細胞癌は本邦報告例では自験例を加えてもわずか7例であり,自験例以外は全て腹会陰式直腸切断術が施行されているにもかかわらず,予後は極めて不良である.外科切除のみならず,集学的治療の開発が待たれるが,術前鑑別診断(カルチノイド腫瘍vs.内分泌細胞癌)により術式と予後が大きく異なることから,術前組織診断が重要である.

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