日本臨床外科学会雑誌
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肝円索内に巨大な血腫を形成した胆嚢印環細胞癌の1例
村岡 曉憲堀場 隆雄中村 司野々山 益雄永井 敏也
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3271-3274

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抄録

われわれは胆石胆嚢炎にて内科入院し,精査中に肝円索内に巨大な血腫を形成したため,緊急手術を施行した胆嚢原発印環細胞癌を経験した.症例は72歳女性で,急性腹症にて当院救急外来に搬送.胆石胆嚢炎と診断され,内科入院となった.保存的治療にて一時軽快するも,再び上腹部激痛を訴え,再度CTを施行したところ肝臓内より表面に突出する腫瘤と中等量の腹水を認めた為,胆嚢穿孔が疑われ外科に紹介.同日緊急手術施行した.腹腔内は肝円索内に血液が約500ml貯留していた.胆嚢は周辺臓器と強固に癒着しており,鋭的に剥離後,腹腔側胆嚢壁を切除し胆石を摘出.胆嚢粘膜面は全て腫瘍状を呈し肝臓側へ浸潤していた.病理結果は印環細胞癌であった.胆嚢原発の印環細胞癌は報告例も少なく稀であり,また肝円索内血腫と合併した報告例はないことから,若干の文献的考察を加え報告する.

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