日本臨床外科学会雑誌
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成人特発性気腹症の1例
和久 利彦渡辺 和彦冨岡 憲明折田 洋二郎
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3283-3287

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抄録

症例は78歳男性.平成14年12月16日肺炎にて入院となった.肺炎像の改善ないため, 12月21日よりニューキノロン系抗菌薬の投与を開始したところ投与8時間後より脱力,呼吸困難および尿量の減少を認め, 12月22日にはさらに尿量が減少し,急性腎不全となった. CPK 767IU/1,血清アルドラーゼ65.1IU/l/37℃,尿中ミオグロビン1,900ng/mlであり,横紋筋融解症と診断し,急性腎不全に対し同日血液透析を開始した. 3回の血液透析で血液検査値は次第に改善した.平成15年1月8日胸部X線上で両側横隔膜下に遊離ガス像を認めたが,腹膜炎の徴候を全く認めなかった.上部・下部消化管内視鏡検査を施行したが異常所見を認めなかった.その後も胸腹部に異常所見なく経過し, 1月15日の胸部X線上両側横隔膜下の遊離ガスは消失していた.成人の特発性気腹症は本邦論文報告例で19例が報告されているにすぎず稀な病態と考えられた.

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