超高齢者の膵管内乳頭粘液性腺癌・胆管癌・胃癌の3重複癌の1例
2004 年 65 巻 12 号 p. 3344-3349
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2004 年 65 巻 12 号 p. 3344-3349
症例は87歳男性.以前より膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMT)を指摘され経過観察されていたが,黄疸を発症し入院.上部消化管精査で胃前庭部に早期胃癌を認めた.膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)の胆管,十二指腸浸潤および胃癌の重複癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を行った.切除標本ではIPMC,胃癌の他に上部胆管に胆管癌を認め, 3重複癌であった. IPMTの他臓器重複癌は比較的多いが, IPMC・胆管癌・胃癌の3重複癌は稀である.予後は合併した他臓器癌により規定されることが多く, IPMTの経過観察中は常に他臓器癌の合併を念頭に入れておく必要がある.また本症例は検索する限りでは最高齢の膵頭十二指腸切除術施行例であったが,高齢者といえども適切な術前評価と術後管理,安全な手術を行えば良好な術後経過を得られると考えられた.
