日本臨床外科学会雑誌
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慢性膵炎に対する腹腔鏡下手術
清水 周次田中 雅夫許斐 裕之小林 毅一郎水元 一博山口 幸二
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2004 年 65 巻 2 号 p. 318-323

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抄録

【目的】慢性膵炎に対する腹腔鏡下手術の適応と手術成績を提示する.【方法】膵体尾部切除術(DP) 5例と膵嚢胞胃吻合術(CG) 5例の計10例を対象とした.平均年齢53歳,男性6例,女性4例である. DPの手術適応は閉塞性膵炎2例,限局性膵石症2例,膵仮性嚢胞1例であり,術中エコーを用いて切離線を同定した後,自動縫合器で膵実質を切離した. CGの症例はすべて仮性嚢胞であり,自動縫合器を用いて嚢胞と胃壁に内瘻を形成した.【結果】膵周囲の高度な炎症のため,各術式でそれぞれ1例が開腹術に移行した.腹腔鏡下に完遂できた症例の平均手術時間はDP 283±66分, CG 204±50分であり,出血量はそれぞれ248±263g, 38±48gであった.膵液漏や縫合不全などの合併症は1例も認められなかった.経口摂取開始は平均6±1日,術後在院日数は17±4日であった.【考察】腹腔鏡下手術は,慢性膵炎に対しても今後新しい治療法の一つとなり得る.

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