日本臨床外科学会雑誌
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術前化学療法(TS-1・CDDP併用療法)が著効した胃癌の1例
堀川 雅人中辻 直之杉原 誠一高山 智燮野見 武男丸山 博司
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2004 年 65 巻 2 号 p. 375-379

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抄録

症例は76歳の男性.検診目的の腹部CT検査で胃角部を中心とした壁肥厚および肝門部リンパ節に径約5cmの腫瘤を認め,胃透視,内視鏡検査(生検にてtub-1)にてStage IIIbの胃癌と診断した.切除可能と判断したが,根治度を高めるためにTS-1 100mg/dayを2週間投与し1週休薬, CDDPは30mg/dayを1, 8日目に点滴静注した. 1コースは入院中に,以後の3コースは外来にて投与した. 4コース終了時の腹部CT検査で胃角部を中心とした壁肥厚は消失し,肝門部リンパ節も径が2.0cmと著明に縮小した.副作用は特に認めなかった.以上の結果から化学療法による治療効果はPRと診断し, 4コース終了後15日目に胃全摘術を施行した.病理組織所見で癌細胞は認めず治癒切除が施行できたと考えられた.再発徴候もなく外来通院中である. TS-1・CDDP併用療法は進行胃癌に対する外来で行える術前化学療法として有効な治療法となり得ると考えられた.

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