65 巻 (2004) 3 号 p. 661-664
患者は86歳の男性.以前より心窩部痛あり他院にて胃潰瘍の診断のもとH2受容体拮抗剤による治療を受けたが症状の改善を認めず,嘔吐,貧血を認めたため上部消化管造影検査と上部消化管内視鏡検査を施行,胃前庭小彎側を中心になだらかな周堤を伴った巨大潰瘍性病変と著明な壁の硬化,幽門狭窄を認めた.このため胃潰瘍,幽門狭窄症の診断のもと幽門側胃切除術を施行した.病理組織検査では潰瘍部の粘膜層から筋層にかけて術前の生検では検出できなかったカンジダ菌糸が多数存在したが悪性細胞は認めなかった.以上から,潰瘍を伴った隆起型胃カンジダ症と診断した.本症は日和見感染症として周知であるが, H2受容体拮抗剤との関係も示唆されており, H2受容体拮抗薬抵抗性の胃潰瘍については胃カンジダ症も考慮に入れて治療すべきである.