日本臨床外科学会雑誌
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膵後部に巨大なリンパ節転移を伴った胆嚢腺内分泌細胞癌の1例
藤本 大裕飯田 敦片山 寛次広瀬 和郎山口 明夫今村 好章
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2004 年 65 巻 4 号 p. 1045-1049

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抄録

症例は71歳,女性, 2002年8月下旬より右背部痛が出現し近医受診し, CTで胆嚢腫瘍の診断で当科紹介受診. CTで胆嚢底部に径4 cmの結節状陰影と,膵頭部背面に径5 cmのリンパ節腫脹を認め, MRCPで充実性腫瘍による欠損像を認めたので胆嚢癌と診断し,膵頭十二指腸切除および拡大胆嚢摘出術+D3+18を行った.病理組織像では表在性にわずかに腺管形成を認めるが,大部分は充実性胞巣をなす未分化小細胞癌様の像を認めた.免疫組織化学染色では, NSE陽性, Chromogranin陰性, Grimelius陰性で内分泌細胞癌と診断した.リンパ節転移は13bにのみ認め,内分泌細胞癌の組織像のみを認めた.内分泌細胞癌は増殖浸潤能が高度で,早期よりリンパ節転移,肝転移を認める例が多い.自験例では孤発性に巨大なリンパ節転移を伴ったもので報告例はなく,非常に稀な1例と考えられた.

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