日本臨床外科学会雑誌
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術中迅速病理診断が大腸癌との鑑別に有用であった腸管子宮内膜症の1例
小林 隆小田 幸夫高桑 一喜
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2004 年 65 巻 4 号 p. 1090-1094

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抄録

直腸からS状結腸にかけて高度の狭窄性病変を呈し,大腸癌と鑑別が困難であった腸管子宮内膜症の1例を経験したので報告する.症例は47歳の女性.検診にて便潜血陽性を指摘され来院.注腸および大腸内視鏡検査で直腸からS状結腸にかけて高度の狭窄像を認めた. 2回の生検はいずれもGroup 1であり,子宮内膜症も疑い婦人科で精査施行されるも内膜症は否定的であった.大腸癌の可能性もあり,前方切除術を施行.術中所見では子宮後壁と直腸の高度の癒着を認め,組織の迅速病理診断では子宮内膜症であった.このため両側卵巣摘出術を追加した.術前に確定診断のつかない腸管子宮内膜症では術中迅速病理診断が有用であると考えられた.

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