日本臨床外科学会雑誌
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緊急開腹術で救命した特発性中結腸動脈瘤破裂の1例
盛島 裕次久高 学山城 和也与儀 実津夫又吉 隆
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2004 年 65 巻 4 号 p. 919-923

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抄録

今回われわれは,特発性中結腸動脈瘤破裂の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.平成14年10月18日朝,突然の腹痛,意識レベル低下のため,当院救急外来へ搬送された.来院時ショック状態で,腹部は硬く膨隆し,上腹部の圧痛が著明であった.腹部CTで腹腔内出血および横行結腸間膜部に巨大な血腫を認めた.緊急血管造影で中結腸動脈分枝血管の数珠状病変および同部位よりの造影剤漏出を認めた.経カテーテル的動脈塞栓術(TAE)を試みたが困難であったため,緊急開腹術を施行した.手術所見では中結腸動脈分枝血管が破裂し,動脈性出血が認められ同部位を結紮止血した.術後経過は良好で,患者は術後18日目に退院した.腹部内臓動脈瘤破裂の治療法にはTAEと開腹術があるが,両者の特徴を考慮した上で,患者の全身状態に応じた治療法を選択すべきである.

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