65 巻 (2004) 4 号 p. 934-939
子宮内膜症性気胸と子宮広間膜異常裂孔ヘルニアは共に稀な疾患であるが,両者を併発した1例を経験したので報告する.症例は45歳,女性,平成11年5月胸痛を主訴に初診,右気胸の診断にて入院.発症日は月経最終日であった.その後6月と8月に月経周期に一致した右気胸を確認し,子宮内膜症性気胸と診断した. Gn-RH誘導体(酢酸ナファレリン)の点鼻を開始し,その後気胸再発なく経過していた.平成12年1月突然の心窩部痛にて入院. CTにて子宮後方に拡張した腸管と腹水を認め, 12日絞扼性イレウスの診断で緊急手術を行った.子宮広間膜異常裂孔ヘルニア嵌頓による回腸壊死と判明,壊死小腸切除を行った.この経過中気胸再発はなかった.平成12年4月より希望によりホルモン療法を中止したところ, 7, 8, 9月に右気胸を繰り返し発症したため10月17日胸腔鏡下手術を行った.肺に病変を認めず横隔膜に小孔2個を認め横隔膜部分切除を行い,フィプリン糊による胸膜癒着療法を加えた.横隔膜病理検査にては,明らかな子宮内膜上皮は認められなかった.術後もホルモン療法を続けており術後2年間再発はなかったが平成14年10月,平成15年9月に2回再発を認めた.入院加療を要せず改善した.