日本臨床外科学会雑誌
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遅発性先天性横隔膜ヘルニアの4例
池田 太郎越永 従道星野 真由美後藤 博志杉藤 公信萩原 紀嗣
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2004 年 65 巻 4 号 p. 940-944

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抄録

遅発性先天性横隔膜ヘルニアは新生児期発症例と比較して良好な経過をとることが多いが,その初発症状は多彩である.今回,われわれは過去10年間に本症を4例経験したので報告する.症例は2カ月から2歳(平均9.5カ月)で,男児3例と女児1例であった.全例とも明らかな胸腹部の外傷の既往は認めていない.初発症状は喘息様発作が1例と不機嫌・チアノーゼが1例,嘔吐・発熱が1例,嘔吐・腹部膨満が1例であった.全例が胸腹部単純X線写真での胸腔内腸管ガス像を認め,本症と診断された.全例が左側であり,経腹的に裂孔閉鎖術を施行した.裂孔の大きさは最大径で2.5cm~7.0cmであり,全例が無嚢性で,内容は小腸および結腸が3例,脾臓が3例,胃が1例,大網が1例であった.術後経過は良好で,全例とも術後3週間以内に退院し,現在まで再発は認めていない.

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