日本臨床外科学会雑誌
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横隔膜原発の悪性線維性組織球腫の1例
芹澤 淳丸尾 祐司大澤 浩一郎伊藤 孝小川 博
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2004 年 65 巻 4 号 p. 945-949

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抄録

横隔膜原発と考えられる悪性線維性組織球腫の1例を経験したので報告する.症例は72歳,男性.咳嗽と背部痛を主訴に近医を受診した.画像診断で右後腹膜の腫瘍と診断され当科に紹介された. CT, MRIで右腎上極背面から胸腔内に突出する4 cm大の腫瘍像を認めた.手術所見で,腫瘍は右腎被膜,肝右葉とは剥離可能であったが,右横隔膜肋骨部と強く固着していたことと,腫瘍の辺縁で横隔膜との移行所見があり横隔膜原発と考えた.周囲の横隔膜を合併切除し腫瘍を摘出した.病理所見からstoriform pleomorphic typeの悪性線維性組織球腫と診断された.手術より2カ月後のCTで局所再発が認められたが,呼吸状態悪化のため再手術は行えず, 10カ月後に呼吸不全で死亡した.本疾患はその組織像の多彩さのため術前の組織診断や画像診断が困難である.横隔膜に発生した場合,四肢原発のものと比べ体内深部に位置することが,さらに予後を不良にすると考えられた.

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