日本臨床外科学会雑誌
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盲腸周囲ヘルニアの1例
日高 敦弘平田 貴文田中 裕穂立石 勉白水 勇一郎八塚 宏太
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2004 年 65 巻 4 号 p. 988-991

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抄録

症例は86歳,女性.腹痛,嘔吐を主訴に来院.腹部単純X線写真でイレウスと診断され,イレウスチューブ挿入のもと保存的に加療したが,充分な減圧は得られなかった.腹部エコーでは胃から小腸の著明な拡張と,盲腸後面に拡張した小腸に連続してstrong echoが認められ,この部位が閉塞部と考えられた.また腹部CTでも小腸の著明な拡張と,盲腸から上行結腸の背側に拡張した小腸を認め,上行結腸は腹側へ偏位していた.以上より回盲部付近の内ヘルニアによる閉塞性イレウスが疑われ,手術を施行した. Bauhin弁より約30cm口側の部位で回腸が約20cmにわたり盲腸後窩に嵌頓しており,小腸部分切除術を行った.
内ヘルニアの中でも盲腸周囲ヘルニアは6.0%前後と極めて稀である.発症年齢,発症様式も様々であるが,内ヘルニアの際には常に念頭に置くべき疾患の一つである.

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