65 巻 (2004) 4 号 p. 992-995
症例は80歳,女性.主訴は右下腹部痛.精査目的で近医より当院紹介入院となった. CT検査で回盲部から上行結腸に一致して6 cm大の壁に一部石灰化を伴った嚢胞性病変を認めた.冠状断像では,嚢胞性病変の尾側に腸間膜の嵌入がみられ,嚢胞性病変が先進部となって上行結腸内に重積しているのがわかった.大腸内視鏡検査では,盲腸底部から上行結腸内腔に向かって粘膜下腫瘍様の隆起を認め,頂部は糜爛を伴い虫垂開口部と思われた.生検ではGroup IIであった.ファイバーは回盲弁を通過した.以上より,虫垂粘液嚢腫による腸重積の診断で回盲部切除術を施行した.病理組織診断で虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された.
虫垂粘液嚢胞腺腫が腸重積を起こした稀な症例で, CT検査の冠状断像が診断に有用であった.術中,所属リンパ節の迅速病理診断で腫瘍細胞を認めなかったため,回盲部切除とした.