日本臨床外科学会雑誌
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外傷性破裂を生じた腎血管筋脂肪腫の1例
清水 幸雄栗本 昌明清水 保延松波 英寿由良 二郎池田 庸子
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2004 年 65 巻 8 号 p. 2200-2205

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抄録
症例は78歳,女性.主訴は腹痛. S状結腸切除術前日に右腎血管筋脂肪腫の外傷性破裂を生じ,動脈塞栓術で止血した.翌日の開腹時,再破裂のため血腫は拡大しており,また腫瘍が大きく出血のコントロールが不可能であったので摘出術を施行した.腎血管筋脂肪腫の自然破裂は比較的稀であるが,外傷によるものは極めて稀で他に1例の報告があるのみである.腎血管筋脂肪腫では自然破裂はもちろん外傷性破裂も念頭におき,外傷後に腹痛を訴え,画像診断で破裂を認めたときは,動脈塞栓術にて止血を試みるべきである.しかし外傷によるものは,本症例のように再破裂の可能性もあるので,経時的な観察が必要である.また緊急手術時の腎保存手術は困難なことが多いので,直径4 cm以上の腎血管筋脂肪腫は塞栓術あるいは核出術などの積極的な治療を行い,腎保存を心掛けるべきである.
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