日本臨床外科学会雑誌
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結節性硬化症疑診例に肺リンパ脈管筋腫症(LAM)様病変を含む多巣性微小結節性II型肺細胞過形成(MMPH)を合併した1例
魚本 昌志蜂須賀 康己
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キーワード: 結節性硬化症
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2338-2341

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抄録

多巣性微小結節性II型肺細胞過形成(multifocal micronodular pneumocyte hyperplasia: MMPH)は,結節性硬化症(tuberous sclerosis: TS)に稀に認められる肺病変である.今回われわれは, TS疑診例において, MMPH症例を経験したので報告する.症例は22歳,女性.職場検診にて左肺異常影を指摘され,精査目的に受診した.胸部HRCT上,左S1+2cに約10mmの不整形スリガラス状影,左S8に約20mmの不整形浸潤影を認め,両肺に5 mm以下の多発結節影を認めた.左S8のTBLB標本では,非特異的炎症の結果であった.何らかの,炎症性疾患に伴う肺病変と考え,約1年のfollowを行ったがCT上変化を認めなかったため胸腔鏡下に左S1+2および左S8の生検を施行した.病理診断は, 2病変ともに肺リンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis: LAM)様病変をわずかに伴ったMMPHであった.稀な疾患ではあるが,肺内スリガラス状影・浸潤影における鑑別診断の一つとして考慮すべきものとして報告する.

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