日本臨床外科学会雑誌
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胃切除後20年経過して発症した空腸残胃重積症の1例
橋本 謙井上 光昭犬塚 清久白水 玄山平木 幹久
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2352-2355

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抄録

胃切除後21年目に発症した空腸残胃腸重積症の1例を経験したので報告する.症例は71歳,男性,コーヒー残渣様嘔吐のため当院紹介,入院となった.既往歴は50歳時に胃潰瘍のため胃切除術を施行されていた.現症は腹部は平坦で上腹部に軽い疼痛と腹膜刺激症状を認めた.血液検査では特記すべき異常所見は認めなかった. X線透視では残胃内に陰影欠損像がみられ, CTでは上腹部に重層構造を示す腸管像を認めた.内視鏡では残胃内に暗赤色蛇腹様腫瘍所見を認めた.
以上より空腸残胃重積症と診断,手術を施行した.開腹すると初回手術はビルロートII法で行われており残胃内への輸出脚小腸の重積と,さらにその小腸内にも小腸の重積があり三筒性の腸重積であった.用手整復後,壊死腸管を切除,ブラウン吻合,腸間膜への輸出脚固定を付加し手術を終了した.術後5年経過後の現在,再発所見はなく良好である.

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