日本臨床外科学会雑誌
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消化管穿孔として開腹術を行った腸管嚢腫様気腫症の1例
池田 宏国辻 和宏三谷 英信斉藤 誠安藤 隆史羽場 礼次
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2379-2382

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抄録

腸管嚢腫様気腫症は,確定診断が出来れば重篤な臨床症状がない限り,保存的治療が可能な疾患である.今回われわれは,消化管穿孔として開腹術を行った腸管嚢腫様気腫症の1例を経験したので報告する.症例は80歳,女性.右下腹部痛を主訴に当院内科を受診した.胸部・腹部X線写真では異常所見を認めなかった.腹部CT,超音波検査にて,肝表面に腹腔内遊離ガス像と,盲腸から上行結腸にかけて腸管壁の肥厚を認めた.以上から,結腸憩室穿孔または虫垂穿孔による腹膜炎を疑い,緊急開腹手術を行った.消化管に明らかな穿孔部は認めなかったが,回腸末端から約90cm口側の回腸漿膜下および腸間膜に,多数の気腫性変化と散在する粘膜下腫瘍様の硬結を触知した.手術は約25cmの回腸を切除した.病理組織学的検査では,粘膜下層に嚢胞状病変を認め,腸管嚢胞様気腫症と診断した.術後経過は良好で,現在,術後約8カ月を経過したが,再発は認めていない.

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