日本臨床外科学会雑誌
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十二指腸に穿孔したアメーバ性肝膿瘍の1例
新国 恵也岩谷 昭角田 和彦西村 淳河内 保之清水 武昭
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2435-2439

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抄録

症例は33歳男性.発熱と右季肋部痛を主訴に来院し,肝膿瘍の診断で入院となった.入院時CT検査にて肝内側区域に径12cm大の膿瘍を認めた.原因菌検索と治療目的に超音波下に膿瘍穿刺ドレナージ術を行った.暗赤色膿汁が吸引されたため数回の細菌培養およびアメーバ原虫の検鏡を行ったがいずれも陰性であった.抗生剤を投与したが解熱せず,入院20日目に肝膿瘍が十二指腸に穿孔し吐下血をきたしショックとなった.緊急手術により止血,ドレナージを行った.術中肝壊死組織の検鏡により栄養型アメーバ赤痢が観察され,アメーバ性肝膿瘍と診断した.術後dehydroemetineとmetronidazoleの投与を行い膿瘍は完治した.アメーバ性肝膿瘍が十二指腸に穿孔することは稀であり文献的考察を加え報告した.

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