日本臨床外科学会雑誌
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S状結腸癌に合併し瀰漫性肝転移と鑑別を要したvon Meyenburg complexの1例
種村 宏之江口 環禧高田 将司渡辺 正志野中 博子
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2004 年 65 巻 9 号 p. 2445-2449

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抄録

S状結腸癌の手術前検索にて偶然発見されたvon Meyenburg complexの1例を経験したので,これを報告する.症例は70歳男性. S状結腸癌手術前検索で肝臓の両葉にわたり多発する小さな腫瘤性病変を認めた. MRIにて嚢胞性疾患が疑われたが,腹部超音波検査では多彩なエコーレベルを呈する小結節性陰影として描出された.病理組織学的には嚢胞状に拡張した胆管を認め,これらは既存の胆管との交通を認めずvon Meyenburg complexと診断された.
von Meyenburg complexは胆管過誤腫性病変といわれている.臨床症状は特に無いので,日常診療で経験されることは稀であるが,今後画像診断の向上とともに遭遇する機会が増えてくるものと思われる.転移性肝腫瘍との鑑別診断にはMRIが有用であると思われた.

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