日本臨床外科学会雑誌
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腸管放線菌症の2例
平野 謙一郎鈴木 聡三科 武二瓶 幸栄松原 要一
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キーワード: 腸管放線菌症, 魚骨
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2005 年 66 巻 10 号 p. 2490-2494

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抄録

腸管放線菌症の2症例を経験したので若干の文献的考察を加えこれを報告する.症例1は81歳,女性.腹部腫瘤の精査の結果,横行結腸癌が強く疑われ横行結腸切除術を施行した.開腹所見では腸管外腫瘤により横行結腸が閉塞しており腫瘤の中心に魚骨を認めたため,魚骨の結腸穿孔による炎症性腫瘤と診断した.症例2は31歳,男性.慢性腎不全にて透析中に,右下腹部痛を主訴に来院.右下腹部に圧痛を伴う腫瘤を触知し急性虫垂炎の診断で手術を施行した.開腹所見では回盲部が炎症により一塊となっていたため回盲部切除を行った.症例1, 2ともに組織診断ではcrub formationを呈する放線菌の菌塊を認め腸管放線菌症と診断した.腸管放線菌症は比較的稀ではあるが腹部腫瘤の鑑別診断として念頭に置くべき疾患であると考えられた.

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