日本臨床外科学会雑誌
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外傷が契機と考えられた高齢者白線ヘルニアの1例
荒居 琢磨松下 明正久保 周熊木 俊成春日 好雄
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66 巻 (2005) 10 号 p. 2603-2606

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抄録

白線ヘルニアは白線の腱膜繊維の間隙より発生するヘルニアで,本邦においては比較的稀な疾患とされる.今回われわれは外傷を契機として発生したと考えられた高齢者白線ヘルニアの1例を経験したので報告する.症例は87歳の男性. 1997年に転落事故にて左肋骨骨折を起こしていた. 1998年より上腹部腫瘤を自覚していたが放置していた.腫瘤の増大と違和感を認めたため, 2005年2月,当科を受診した.腹部超音波およびX線CT検査にて白線ヘルニアが疑われた.外科的治療が施行されたが,白線に約15×10mmの欠損を認めた.腹膜前脂肪織とヘルニア嚢の脱出を認め,腹膜前脂肪織は絞拒されていた.ヘルニア門は小さく,単純閉鎖した. 70歳以上の白線ヘルニアは本邦では自験例を含め, 15例しか報告されていない.その中では,嵌頓もしくは絞据症例が7例 (47%) と約半数にみられ,高齢発症例では嵌頓もしくは絞扼の可能性を念頭に置き対処が必要であると考えられた.

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