日本臨床外科学会雑誌
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非特異性多発性小腸潰瘍症の1例
野田 英児澤田 隆吾雪本 清隆鬼頭 秀樹阪本 一次山下 隆史田中 勲
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2005 年 66 巻 11 号 p. 2721-2724

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抄録
症例は, 23歳,女性.平成11年,十二指腸潰瘍穿通にて広範囲胃切除術施行された.同年,癒着性イレウスの診断にて,癒着剥離術を施行した.この際,回腸末端部より約80cm付近に8カ所の輪状の壁肥厚を認めたため一部を切除した.肥厚部にはびらんを認め,病理学的には非特異的炎症所見のみであった.平成14年8月,突然の下腹部痛が出現し,外来を受診した.受診時,下腹部に強い圧痛を認めたが腹膜刺激症状は認めなかった.腹部CTで小腸の拡張とTargetsign様の所見を認めたため,腸重積を疑い緊急手術を施行した.回腸末端部に8カ所の壁肥厚を認め,それより口側の腸管の拡張を認めたため同部を切除した.切除標本では輪状の潰瘍瘢痕様の病変を8カ所に認め,病理学的には浅い潰瘍形成と粘膜下層の非特異的炎症像が認められ非特異的多発性小腸潰瘍症と診断した.
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