日本臨床外科学会雑誌
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穿孔性虫垂炎に起因する門脈ガス血症の1例
濱野 美枝松山 秀樹増田 浩
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2005 年 66 巻 11 号 p. 2778-2781

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抄録

症例は71歳,男性. 2001年12月31日より,排便なく,腹痛が出現してきたため2002年1月3日,当院救急外来受診.当日は保存的加療を行い,翌日外来紹介となった.転科時,腹部は全体に膨隆し,自発痛を認め,特に右下腹部に圧痛および強い反跳痛を認めた.腹部単純X線では,拡張した小腸ガス像を認めた.腹部造影CTにて,肝S3に門脈ガス像を認めたが, freeair,膿瘍および腸管壊死を疑わせる所見は認められなかった.しかし,麻痺性イレウスの状態であり痛みも強く,また門脈ガス血症がみられることから,腹膜炎と判断し,緊急手術施行した.開腹すると,腹腔内に汚染された腹水を認め,穿孔性虫垂炎に伴う汎発性腹膜炎であった.虫垂切除を行い,腹腔内洗浄後手術を終了した.術後経過は良好で第17病日に退院となった.本症例のように虫垂炎による腹膜炎が原因の門脈ガス血症の報告は自験例を含めて3例しか報告がなく貴重な症例と考えられた.また,門脈ガス像が診断および治療方針決定に有用であった.

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