日本臨床外科学会雑誌
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大腸印環細胞癌の臨床病理学的検討
後藤 順一北 健吾藤好 真人廣方 玄太郎今井 浩二河合 朋昭柳田 尚之赤羽 弘充中野 詩朗高橋 昌宏
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2005 年 66 巻 12 号 p. 2915-2920

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抄録

1995年から2004年まで過去10年間の大腸癌切除例1,091例のうち,印環細胞癌症例7例 (0.64%) を臨床病理学的に検討した.同時期の高,中分化腺癌症例(以下分化型腺癌)941例についても検討した.印環細胞癌の男女比は1:1.33,平均年齢は72.6歳.腫瘍占拠部位,肉眼型,大きさなどに傾向性はなかった.印環細胞癌は全例ss以深であり,リンパ管侵襲も全例にみられた.リンパ節転移は5例 (71.4%) にみられ,多い傾向だったが有意差はなかった.腹膜播種は2例 (28.6%) にみられ有意差を持って分化型腺癌より多かったが,肝転移はみられなかった.印環細胞癌の3年, 5年生存率は21.4%, 0%であり印環細胞癌の予後は分化型腺癌に比べ有意差を持って不良であった.大腸印環細胞癌は組織浸潤傾向が強く,極めて予後不良であるが可能な限り治癒切除を目指すことが肝要であると考えられる.また,今後抗癌剤治療について検討が必要であると考えられた.

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