日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
メシル酸イマチニブ投与後に局所再発および肝転移巣を切除した胃GISTの1例
野尻 卓也柏木 秀幸遠山 洋一柳澤 暁矢永 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 66 巻 12 号 p. 2948-2952

詳細
抄録

症例は52歳,男性. 2001年9月に直径4cm大の胃粘膜下腫瘍に対し,腹腔鏡下胃部分切除術を施行し, gastrointestinal stromal tumor (以下GIST) と診断した. 2003年10月の腹部CT検査で胃局所再発と単発肝転移を認め,イニチニブの投与を開始した.奏効度はCRであったが,全身浮腫,肝障害の副作用のため同治療の継続が困難となり,再手術を施行した.術後の病理組織学的検討の結果ではviable cellは認めなかった.現在再手術後1年6カ月を経過するが,イマチニブ非投与下でも再発は認めていない.イマチニブは70~80%程度の高い奏効率を示すが,早期耐性の報告や,休薬後の腫瘍増大の報告があり,長期効果も明らかではない.本症例のごとく再発例にイマチニブ投与を行い,早期に再切除した報告は非常に少なく, GIST再発例に対する外科治療の有用性を示唆する症例であると考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top