2005 年 66 巻 12 号 p. 2992-2996
症例は74歳,男性.平成11年に当院泌尿器科にて骨転移を伴う右腎細胞癌 (clear cell type, G2, v(-), ly(-), pTlb N0 M1 stage IV) にて術前放射線療法および右腎摘出術が施行され,術後外来にてインターフェロン療法が施行されていた.平成14年4月,下血を認め入院,諸検査にて出血部位を同定できなかったため,経過観察としていた.しかし,その後も下血が続き,そのつど輸血が行われていた.その後に施行した出血シンチグラフィー,小腸透視にて腎癌の小腸転移の疑いで,平成16年1月22日手術を施行した.開腹すると8カ所に径0.5~2cm大の硬結を認め, 3カ所で小腸の部分切除を施行した.摘出標本は内部に潰瘍を認める隆起性病変で,組織学的には腎癌小腸転移と診断された.術後21日目退院,術後1年4カ月の現在骨転移の増悪を認めるも下血はなく,生存中である.