66 巻 (2005) 12 号 p. 3006-3010
症例は, 33歳の女性で左下腹部痛を主訴に紹介され,イレウスの診断にて入院となった.開腹手術および腹部外傷の既往はなかった.腹部CTでは, S状結腸間膜背側に嵌頓した小腸塊を認めた.イレウス管留置による保存的治療にてイレウスの改善なく,小腸造影にて左下腹部に閉塞部位が確認された.入院10日目,内ヘルニアの診断にて腹腔鏡下手術を施行した. S状結腸間膜左葉に小欠損を認め,そこに小腸が約15cm嵌頓していた.腹腔鏡下に嵌頓小腸を整復し, S状結腸間膜内ヘルニアであることを確認し,間膜を縫合閉鎖した.腸管切除は不要であった.術後経過は良好で6病日に退院となった.
S状結腸間膜内ヘルニアは,極めて稀な疾患で,本邦報告例では38例目である. S状結腸間膜に起因するヘルニアの検討とともにS状結腸間膜内ヘルニアのCT診断の有用性について報告する.