日本臨床外科学会雑誌
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重複胆嚢管を伴う二葉胆嚢の1例
森本 修邦石井 孝明篠崎 幸司川崎 靖仁大鶴 実安田 青兒
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2005 年 66 巻 12 号 p. 3039-3043

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抄録

症例は37歳,男性.心窩部痛,嘔吐を主訴に当院受診.血液検査にてAmy 558IU/l, T-Bil 1.6mg/dlと上昇を認めたため,閉塞性黄疸,急性膵炎の診断にて入院となる. MRCPでは膵頭部を左側に認め,膵管,総胆管,胆嚢管が左から右へと通常とは逆に走行しているように思われた.胆嚢は屈曲しており底部に小結石を認めたが,総胆管内に異常は認めなかった.以上より腸管回転異常症を伴う胆嚢結石症と診断され,第19病日に開腹胆嚢摘出術を施行した.肝右葉の足側に異所性肝臓を認め,その背側に胆嚢が付着していた.胆嚢管を2本認めたため,胆道造影を施行したどころ,胆嚢管はそれぞれ独立して総胆管に合流していた.摘出した胆嚢は外見上,正常であったが,切開したところ,胆嚢内腔には隔壁があり,頸部まで完全に2つに分かれており,それぞれ胆嚢管を有していたため,隔壁型二葉胆嚢に重複胆嚢管を合併したものと考えられた.

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