日本臨床外科学会雑誌
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胃切除後の縫合不全に続発したと考えられる孤立性脾膿瘍の1例
鹿野 敏雄越川 克己桐山 幸三和田 応樹谷口 健次末永 裕之
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2005 年 66 巻 12 号 p. 3063-3067

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抄録

Billroth I法再建後の早期残胃癌に対して2004年4月残胃全摘Roux-Y再建を施行した.術後18日目,十二指腸断端の縫合不全から腹腔内膿瘍を形成,エコーガイド下穿刺ドレナージ(以下, US下ドレナージと略記)を施行し速やかに軽快,胃切除後45日目に退院した.同年7月下旬に熱発で来院, CT検査で孤立性脾膿瘍と診断した.脾膿瘍に対してUS下ドレナージを施行,速やかに解熱および炎症所見の消退, CT検査でも膿瘍の縮小を認めた. US下ドレナージ後19日目にドレナージチューブを抜去した.脾膿瘍は先行感染の消退後,数カ月してから発症することもあり,患者が一旦回復した後の熱発や腹痛に際しては脾膿瘍を念頭に置いて診療に当たることが重要である.

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