66 巻 (2005) 12 号 p. 3080-3084
症例は68歳,男性,左側腹部腫瘤を主訴に当院を受診した.腹部CT, MRIにて異なる2種類の成分からなる後腹膜脂肪肉腫と診断し,開腹手術を施行した.腫瘍は腎周囲の腫瘍と, S状結腸に接する巨大な腫瘍から形成されており,互いの連続性は認められなかった.病理組織検査では分化型脂肪肉腫(硬化型)と多形型脂肪肉腫であった.その後, 2度の再発を認め腫瘍摘出術を施行した.初回手術から2年8カ月経過した現在,新たな再発なく生存中である.本症の治療は外科的切除が原則であり,術後再発を認めた場合には,積極的に再切除が行われるべきであると考えられた.本邦における多中心性に発生した後腹膜脂肪肉腫の報告は自験例を含め5例と稀であり,文献的考察を加え報告する.