2005 年 66 巻 3 号 p. 632-637
今回われわれは,子宮体癌術後に胃漿膜に発生したclear cell carcinomaの1症例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.
症例は50歳,女性.当院産婦人科にて平成14年10月に子宮体癌に対して子宮全摘+両側付属器切除術,術後化学療法を施行し経過観察していた.平成15年5月の腹部CT上脾門部周囲に腫瘤像を認め,その後増大を認めたため外科にコンサルトされた.精査の結果,原発性胃粘膜下腫瘍と診断し腹腔鏡下に手術を施行した.病理組織検査の結果,胃漿膜に発生したclear cell carcinomaの診断であった.さらに4カ月後に同部位近傍に再発病巣を認め平成16年5月に腹腔鏡下腫瘍切除術を施行した.病理組織検査の結果,前回同様のclear cell carcinomaの診断であった.
術後6カ月現在,明らかな再発を認めていないが,症例の蓄積がなく今後も厳重な経過観察が必要と考えられた.