日本臨床外科学会雑誌
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術中内視鏡にて小腸出血源を確認した腸間膜悪性リンパ腫の1例
境澤 隆夫小出 直彦佐藤 敏行石田 文宏細田 和貴宮川 眞一
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2005 年 66 巻 3 号 p. 729-733

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抄録

症例は68歳,男性.主訴は黒色便であった.上部・下部消化管内視鏡検査では出血源は確認できなかった.腹部CTにて径50×38mm大の腫瘤を腹部大動脈の左側に認めた.血液生化学的検査でβ2-MGとslL-2Rの高値を認め,空腸腸間膜悪性リンパ腫を疑われ,手術を施行した.空腸腸間膜の基部に径5cm大の表面平滑で弾性軟の腫瘤と小腸腸間膜への広範囲浸潤を認めた.術中内視鏡により同部が出血源であることを確認し,止血および組織診断確定のために腸間膜の一部を含めて空腸部分切除を行った.病理組織学的検査ではmalignant lymphoma (follicular lymphoma, B cell type)であった.術後はR-CHOP療法(Rituximab 560mg, Doxorubicin 75mg, Vincristine 2mg, Cyclophosphamide 1,140mg, Prednisolone 100mg)を6コース施行しCRを得た.術中内視鏡を用いて原因不明の小腸出血源を確認し,止血しえた腸間膜悪性リンパ腫の症例を経験したのでここに報告した.

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