日本臨床外科学会雑誌
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Dubin-Johnson症候群に合併した大腸動静脈奇形の1例
野村 尚弘三輪 高也武内 有城神田 光郎末永 昌宏
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2005 年 66 巻 5 号 p. 1105-1110

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抄録

症例は74歳,女性.貧血の精査目的で紹介入院となった.下部消化管内視鏡にて,横行結腸に中央発赤を伴う滑らかな隆起性病変を認めた. DSAでは内視鏡で認められた病変に一致して,中結腸動脈より栄養される濃染像および早期の静脈還流を認め動静脈奇形と診断した.また,総ビリルビン3.4mg/dl,直接ビリルビン1.9mg/dlと直接型優位の高ビリルビン血症を認めた. ICGを含めた肝機能は正常で,肝生検にて肝細胞内に褐色顆粒を認めDubin-Johnson症候群と診断した. Dubin-Johnson症候群に合併した大腸動静脈奇形の診断で横行結腸切除術を施行した.肝臓は黒褐色調を呈していた.術後はビリルビンの上昇もなく経過したが,下血が続き再度内視鏡を行うとS状結腸に動静脈奇形が存在し出血源と考えられた.患者の負担を考慮しアルゴンプラズマ凝固法による内視鏡治療を行った.治療後1年経過するが再出血はなく,経過良好である.

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