日本臨床外科学会雑誌
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術前診断に苦慮した直腸癌併存肝膿瘍の1例
遠藤 文庫吉村 哲規村山 忠雄水口 博之岡村 孝杉原 健一
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2005 年 66 巻 5 号 p. 1139-1145

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抄録

症例は73歳,女性.食欲不振を主訴に近医を受診した.腹部超音波検査にて嚢胞性肝腫瘤を指摘され,当科を紹介された.
入院時,全身状態良好で体温36.3°C, 身体所見では手術痕以外には,異常所見を認めなかった. CT, MRIにて肝右葉前区域に,不均一に造影される,肥厚した嚢胞壁を伴い隔壁を有する多房性嚢胞性腫瘤を認めた.血管造影検査では腫瘍濃染像, encasement, 肝動脈門脈シャントを認めた.一方,下部消化管検査にて2型直腸癌を認めた.
以上より嚢胞性肝腫瘤の鑑別診断として肝嚢胞腺癌,転移性肝腫瘍,肝細胞癌などを含めた悪性の腫瘍を強く疑い,直腸低位前方切除術,肝前区域切除術を施行した.病理組織学的には嚢胞性肝腫瘤に悪性所見を認めず,細菌培養検査よりKlebsiella. pneumoniaeが検出され,肝膿瘍と診断した.
術前診断にて悪性を否定しえなかった肝膿瘍の1切除例を経験したので,若干の考察を加え報告する.

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