日本臨床外科学会雑誌
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Paclitaxel followed by FEC療法による乳癌術前化学療法の臨床病理学的評価
桧垣 健二守田 陽土久保 陽司見前 隆洋丁田 泰宏梅岡 達生原野 雅生佐々木 寛二宮 基樹高倉 範尚
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2005 年 66 巻 5 号 p. 990-994

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抄録

腫瘍径が3cm以上のStage IIAからIIIBまでの進行乳癌36例に術前化学療法 (paclitaxel followed by FEC療法)を施行した.その結果,臨床効果はCR+PR=33/36 (91.7%), 組織学的効果はGr3+Gr2=18/36 (50.0%) であった.乳房の温存率は31/36=86.1%であり,温存時の切除断端の陽性率は5/31=16.1%であった.
化学療法によりN0の8/8 (100%), N1の13/17 (76.5%), N2の1/8 (12.5%) に組織学的転移は認められなかった.術後の経過観察期間は短いが,現在のところ乳房再発や腋窩リンパ節再発はみられていない.
以上により,術前化学療法は乳房温存手術およびSNBの適応を拡大させる可能性がある.しかし, SNBは現時点でコンセンサスがえられていないため,慎重な実施が必要であると思われた.

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