日本臨床外科学会雑誌
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Becker型筋ジストロフィー患者に発生した胃癌の1例
南 英夫村上 望小竹 優範小泉 博志伴登 宏行山田 哲司
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1610-1613

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抄録

症例は43歳,男性. 27歳時に,家族歴および筋生検の結果よりBecker型筋ジストロフィーを指摘されていた.今回摂食不良にて当院受診,精査の結果胃癌と診断され,胃全摘術を施行した.
るいそうや血清CK値の上昇は認めたが,著明な筋力低下や歩行障害といった筋ジストロフィーにみられる徴候はなかった.遺伝子検査を施行したところ, dystrophin遺伝子の欠失を認め, Becker型筋ジストロフィーを示唆する所見が得られた.筋ジストロフィー患者は一般的に短命であり,死因として呼吸不全や心不全が多い.手術を行う際にも,術中・術後の呼吸器および循環器系の合併症に注意する必要がある.

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