2005 年 66 巻 7 号 p. 1680-1683
患者は34歳の男性. 2年前発症の潰瘍性大腸炎(UC)患者.重症の全大腸炎型の診断にて近医入院し中心静脈栄養,プレドニゾロン,メサラジン,顆粒球除去療法(GCAP)が施行された. 2カ月にわたって治療されるも症状改善せず当院紹介入院となった.転院時,呼吸困難,発熱,低酸素血症,胸部X線像にて両肺にびまん性の淡いスリガラス状の陰影を認めた.カリニ肺炎による間質性肺炎と診断し, ST合剤を投与した.これにより呼吸状態が改善し,結腸亜全摘,一時的回腸瘻, S状結腸粘液瘻造設術を行った.
UCの治療経過中にステロイド剤や免疫抑制剤, GCAPなどが併用される.これによって免疫不全をきたし日和見感染症を合併することもある.内科的治療の限界を見極め,感染合併症を引き起こす前に手術に踏み切ることが重要と考える.