日本臨床外科学会雑誌
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肛門部粘膜下腫瘍として発見された顆粒細胞腫の1例
野中 隆清水 輝久重政 有柴田 良仁國崎 忠臣米満 伸久
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1694-1697

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抄録

症例は62歳,女性.健診にて便潜血陽性を指摘され精査目的で当院外来受診.肛門鏡,肛門指針にて肛門部3時の方向に弾性硬の可動性不良の粘膜下腫瘍を認めた.腹部造影CTにて造影効果を伴う腫瘤を認め,肛門部の悪性腫瘍を否定できないため経肛門的腫瘍摘出術を施行した.摘出標本の病理組織診断にて,顆粒状あるいは明るく広い細胞質と類円形核を有する細胞を認め,免疫組織学的にS-100蛋白陽性であり,肛門部に発生した顆粒細胞腫と診断された.
顆粒細胞腫はSchwann細胞由来の良性腫瘍といわれている.胸壁,乳房,頸部の皮下に好発するといわれ消化管では口腔内,食道の報告が多く肛門部の報告は極めて稀といわれる.今回われわれは肛門部に粘膜下腫瘍として発見された顆粒細胞腫の稀な1例を経験したので報告する.

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