日本臨床外科学会雑誌
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脾摘が汎血球減少症に対して著効を示した巨大脾サルコイドーシスの1症例
西岡 宏彰平林 邦昭硲野 孝治山口 拓也戸口 景介中林 洋
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1739-1742

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抄録

原因不明の巨大脾腫,脾機能亢進症に対して脾臓摘出術を施行したところ,病理組織所見から脾サルコイドーシス(サ症)と診断された.術後症状,血液所見とも著明に改善した稀な脾サ症の1例を経験した.
症例は21歳,男性.小学3年生ころより不明熱,脾腫を指摘され,他院にてBanti Syndromeとして加療を受けた.腎機能が低下し透析導入後脾腫が増強,平成4年3月より全身倦怠感,高熱,汎血球減少症が出現した.経肝的門脈圧測定にて上昇はなく,原発性脾機能亢進症と考え,脾動脈塞栓術を施行後, 6月16日開腹脾臓摘出術を施行した.脾臓は1,500gで23×14×7cmと巨大であった.病理所見では脾臓全体と肝小葉内,門脈域にサルコイド結節を認め,脾サ症と診断された.術後,症状,汎血球減少は劇的に改善した.
脾サ症で汎血球減少を呈する巨大脾腫は少なく,脾摘が有効とする報告があるが,再燃例の報告もある.術後長期に再発なく経過している1例を報告した.

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