66 巻 (2005) 7 号 p. 1780-1783
症例は18歳の男性で,交通外傷で近医へ搬送された.胸部レントゲンにて左緊張性気胸を認めトロッカーを挿入された.胸部CTで縦隔血腫と診断され当院へ紹介となった.血管造影を施行したところ,腕頭動脈瘤を認めたため,同日緊急手術を施行した.右大腿動静脈を確保した後に胸骨正中切開で縦隔に達したところ,腕頭動脈は起始部より約3cm遠位側まで拡大し,外膜のみで保たれ内膜は断裂していた.人工心肺は用いずに,人工血管にて腕頭動脈再建術を施行した.鈍的外傷による胸部大血管損傷は,受傷後病院に搬送されるまでに死亡する例が大半であるといわれているが,本症例は幸いにも外膜のみで保持されており,完全に断裂されておらず,人工心肺を使用せずに再建可能であった.