2005 年 66 巻 8 号 p. 1832-1835
HIV感染症に合併したサイトメガロウイルス (CMV) による,比較的稀な小腸穿孔例を経験した. CMV腸炎は打ち抜き様の深い潰瘍を形成するためと考えられた.症例は57歳,男性.高熱を主訴に来院し,間質性肺炎の診断で抗生剤,ステロイド療法中に汎発性腹膜炎をきたした.二度に及ぶ緊急手術にても救命しえず,摘出標本から本症と診断された.社会的に,肝炎ウイルスの術前検査などは受け入れられているものの, HIV抗体の検索の是非については今後の重要な課題と思われる.