2005 年 66 巻 8 号 p. 1850-1854
症例は65歳の女性,主訴は左腋窩部腫瘤.左腋窩に3~5cm大の弾性硬,可動性良好な腫瘤を数個触れた.マンモグラフィ,乳房エコーでは乳腺内に腫瘤像を認めなかった.腋窩腫瘤生検で,転移性腺癌・エストロゲンレセプター陽性のリンパ節転移と診断を得た.乳房MRI, 全身精査を行ったが原発巣はみつからず,潜在性乳癌の腋窩リンパ節転移と診断し,左胸筋温存乳房切除術を施行した.切除乳腺標本の詳細な病理学的検索により外上方部に1.2×1.5mmの原発巣を認めた.術後,化学療法・放射線療法・ホルモン療法を行い2年2カ月再発なく経過している.本症例は報告されている潜在性乳癌のなかでも非常に小さい原発巣であり,若干の文献的考察を加えて報告する.