日本臨床外科学会雑誌
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腫瘍免疫活性誘導併用凍結治療と化学療法が奏効した巨大肝腫瘍の1例
長田 真二八幡 和憲棚橋 利行坂下 文夫杉山 保幸
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2005 年 66 巻 8 号 p. 1994-1999

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抄録

高度脈管浸潤により切除不能と判断した腫瘤形成型胆管細胞癌に対し,局麻下穿刺式凍結治療とpolysaccharide-Kurehaおよび全身化学療法により広範な腫瘍壊死を誘発した症例の治療経過の概要を報告する.症例は74歳,男性で来院時血清ビリルビン値は13.0mg/dLであり,画像上肝内側区域から前区域にかけてリング状濃染部分と低吸収域の混在する腫瘍を認めた.経皮経肝胆管ドレナージによる減黄後に週1回のペースで局麻下経皮的凍結治療を施行した所, 4回目で腫瘍は一部の残存箇所を残してほとんどが壊死に陥った.またCEAは18.4ng/mLが1.4ng/mLに, CA19-9は1792.5U/mLから43.4U/mLへと低下した.一方,免疫関連系の血液因子としては,血清amyloid A値がピーク値615.0μg/mlまで上昇を続け, Th1/Th2バランスは2回目治療後の30.2%を最高値として以降漸次減少傾向であったが施行前より下がることはなく,各治療毎に後値は前値に比べ高かった.今回の症例では,腫瘍免疫賦活作用による効果で腫瘍の縮小が誘発されたものと推察された.

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