日本臨床外科学会雑誌
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胆管胆管吻合後に発生した胆管断端神経腫の1例
原 隆志石後岡 正弘樫山 基矢加藤 久昌田尾 嘉浩細川 誉至雄
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2005 年 66 巻 8 号 p. 2000-2003

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抄録

腹腔鏡下胆嚢摘出術中の胆管損傷に対して施行した胆管胆管吻合術後8年目に発症した,胆管断端神経腫の1切除例を経験したので文献的な考察を加えて報告する.
症例は53歳,男性, 1996年胆嚢内結石症にて腹腔鏡下胆嚢摘出術施行中に胆管損傷が発生し胆管胆管吻合術が施行された.その後順調に経過していたが, 2004年腹痛と眼球黄染を主訴に当院受診となり,超音波検査, MRCP,腹部CT検査などにて著明な肝内胆管の拡張と肝外胆管の狭窄,総胆管結石を発見された. PTCSでは瘢痕様狭窄で生検でも腫瘍細胞は検出されず良性胆道狭窄の診断で肝外胆管切除,総胆管結石の除去,肝管空腸吻合術を施行した.病理組織学的検査では狭窄部に一致して神経線維の増生を伴う瘢痕組織が認められ胆管断端神経腫と診断された.腫瘍性変化は認められなかった.胆管胆管吻合術後には本症の発生も念頭におき,長期的な画像診断を含めた経過観察が必要である.

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