抄録
症例は25歳,男性.主訴は右季肋部痛・高熱.血液検査で強い炎症反応を認めたため入院した.腹部CTで肝膿瘍を認め,経皮経肝膿瘍ドレナージ術を施行し,乳白色無臭の膿汁を認めた.改善傾向を認めなかったため開腹膿瘍ドレナージを施行した.その後,膿瘍の増大を認めたため,膿瘍を含む肝部分切除を施行した.この時,回盲部に穿孔を認め,回盲部切除術を施行し,病理診断で多数のアメーバー虫体を確認した.直ちにメトロニダゾールの投与を行ったが,大量下血が出現し,止血目的で直腸・S状結腸切除術,人工肛門造設術を施行した.その後の術後経過は良好で,肝膿瘍も消失している.
穿孔性腹膜炎,肝膿瘍を合併した劇症型アメーバー性大腸炎を経験し,死亡率の高い劇症型症例を3期の手術で救命できた.本症は臨床上稀な疾患であるが,本疾患を念頭に置けば診断,治療は比較的容易であり,早期の治療が重要である.